トマトの疫病対策
サステナブル・アグリカルチャー by 湘南オーガニック協議会
2019.7.20(土)
雨が続きますね。長雨+日照不足は、病気や虫が発生するなど、畑の作物にも影響が出ています。湘南オーガニック協議会主催の有機農業勉強会で、トマトの疫病対策についても少し話したので、その内容をシェアします。
■疫病とは?
土の中にいる糸状菌(鞭毛菌類)が、雨による泥はねなどで、植物の茎や葉・果実・根に付着することで発病します。雨の多い梅雨時期に多発し、感染すると黒い病斑ができ、ひどくなると腐ります。
病斑が水に濡れると胞子が飛散し、遊走子となって、泳いで、移動します。そして、気孔から侵入、組織内に菌糸を伸ばして、増殖、発病します。
雨が降ると、植物体全体に広がってしまうのは、このためです。
■トマトの疫病対策
オーガニックでトマトを栽培する場合は、最初に発生しにくい環境を整えることが基本です。
基本① 泥はねを防止する。
・ビニールマルチなどをする。
・高畝にする。
・できれば、ハウスで栽培を行う。
路地の場合でも、雨よけビニールを張るなどの物理的な対策をすると良いです。
基本② 藁や落ち葉、剪定枝を活用する。
藁や落ち葉、剪定枝の中にいる枯草菌は、疫病菌と拮抗してくれるため、疫病予防になります。
・定植してすぐの間は、株元に剪定枝チップや落ち葉など、枯草菌がすきそうな高炭素資材をマルチング(敷き詰め)します。梅雨前までは畝間に燕麦を生やしておくのも良いです。
・梅雨が本格化する前には、畝間や畝の上を、藁や剪定枝チップで覆うなどします。
このように、物理的な飛散を防ぎ、枯草菌による拮抗作用が起こることで、多発しにくい環境を整えることができます。
■疫病が発生してしまった場合の対処の仕方
①病斑(黒カビ)が発生した葉をすべてカットして畝間に落とします。
②株元のマルチ穴を剪定枝チップで塞ぎます。(土からの蔓延を防止)
③畝間の燕麦を刈り倒して、米糠をパラパラ撒き、剪定枝チップをを敷きます。
面積にもよりますが、家庭菜園程度であれば、晴れた日を選んで、納豆を1パックに水を加え、ミキサーでクラッシュ。散布しやすい濃度にして、散布します。
有機JASで使える農薬も紹介しておきます。
〇クリーンカップ水和剤 (銅・バチルス ズブチリス水和剤)
https://www.kumiai-chem.co.jp/products/document/cleancop_wp.html
納豆菌や枯草菌と同じバチルス属の菌です。有効成分は生菌と天然の銅。殺菌と菌による拮抗作用で疫病を抑えます。
トマトの他の病気、例えば、葉かビ病やすすかび病にも有効です。
〇Zボルドー(殺菌剤)
無機銅剤(塩基性硫酸銅)であり、糸状菌病害から細菌性病害まで幅広い病害に。トマトの疫病などにも有効です。
http://www.greenjapan.co.jp/zborudo_ds.htm
土壌生態系、植物生態系と環境の関わりの中で作物が育ちます。
今年のように自然環境が調わない時こそ、少し後押しする人の手が肝心です。
何を引いて何を補うと良さそうか、まずはしっかりと観察して、対策を講じてくださいね。
- お知らせ
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