微生物をいかした育土④ー連作とコンパニオンプランツ
サステナブル・アグリカルチャー by 湘南オーガニック協議会
2019.8.24(土)
□作物による育土
前回は、人間の家づくりに例えて、説明をしてみました。
では実際はどうすればいいのでしょうか?
すごく、「たんじゅん」です
とにかく、「連作」します。
連作とは、毎年、その畑に同じ作物をつくり続けること。
「えっ」と思われる方もいると思います。
通常、連作をすると病害虫が発生するから、できる限り連作しないように、輪作を組んだり、もしくは、土壌消毒をして病害虫をおさえることで、回避しているケースが多いと思います。
病害虫から逃げるか殺すかの選択肢が多いわけです。
よく連作のデメリットであげられるのが、同じ作物を作り続けることにより、連作障害がおきるといわれています。病気や害虫が発生して作物が育たなくなるというもの。
一方、メリットは、連作が機能すると
作物と相性のよい微生物などが増える→ 病害虫の発生がすくなくなる→ 作物のできが良くなる
という連鎖が起こってきます。
その作物を中心とした土壌生態系ができることにより、最終的には、病気や虫にもかからず、収量と秀品率があがり、除草もほとんどいらないような状態になっていくことをめざします
【連作をする時のコツ】
連作が嫌われる大きな要因のひとつに、3~4年後の病害虫の発生による収量の大幅な落ち込みがあげられると思います。
その後は、収量が回復していくのですが、多くの農家は、その落ち込みを危惧して連作に二の足を踏む。そこで、輪作をかけたり、なるだけ連作をさける取り組みをするのが、定石とされています。
ここでは、土壌の生態系を活性化していく取り組みを同時にすることで、連作による障害を起こさない、少なくとも収量の落ち込みを最小限にくいとめるコツを紹介していく。
①微生物をいかした育土を進めておく
基本的な土壌構造を整えたうえで、微生物により生み出される養分循環を最大限高めておく。
多様な微生物の働きにより、連作障害が起きにくくしておく。
②コンパニオンプランに代表される相性のよい作物を組み合わせる
育てる作物によっては、病気が増えるもの、有害センチュウなどが増える組み合わせもある。できる限りそういった作物は避け、相性の良いものを組み合わせる。
③相性のよいイネ科の緑肥などを組み合わせる。
例えば、秋冬ニンジンの後のえん麦など 炭素源の補給とセンチュウなどの予防も兼ねることが できる。連作障害を起きにくくする。
④連作が簡単で品質の向上する作物をまずは、栽培してみる
連作ニンジン・大根・サツマイモ・かぼちゃなどは連作をしていくと品質が向上していく。
■図1
連作と作物の生育 | 主な作物 |
連作で品質が向上 | サツマイモ、カボチャ、玉ねぎ、ニンジン、ダイコン |
連作の影響がない |
イネ、オオムギ、コムギ、アワ、カラスムギ、トウモロコシ、キビ、レンコン、 クワイ、ミズゼリ、ツケナ、カブ、カンラン、イチゴ、アスパラガス、トウガラシ、ウド、ワサビ |
連作で障害が発生 |
サトイモ、ジャガイモ、マクワウリ、シロウリ、トマト、インゲン、ハクサイ、 スイカ、ナス、エンドウ、ゴボウ、ビート、アマ |
※図1(「育つ土を作る家庭菜園の科学」木嶋利男」から引用)
⓹連作回避技術を使う
抵抗性品種を使う、抵抗性の台木などを使うなどするとより、連作が容易になる
特定の病気を押さえる微生物資材など。
①~⓹を連動させる
①の微生物を生かした育土に始まり⓹の抵抗性品種や台木などの利用などを連動させることにより、連作による土壌生態系を整えながら、その際におこってくるであろう障害などの対策も進められるので、収量の落ち込みを最大限におさえながら連作による育土を進めることができます。
こうして、作物ごとにカスタマイズされた微生物のお家が完成していくわけです。
■参考になる文献など
連作やコンパニオンプランツに関する詳しい説明などは、木嶋利男先生の本をお勧めします。様々な実験から得られたデータや、実際に使える事例などがたくさん載っています。
参考にしてみてください。