育土前のチェック表
サステナブル・アグリカルチャー by 湘南オーガニック協議会
2019.7.27(土)
新規就農するにあたって、もしくは、新しく土地を借りる時に、かならチェックしておく良い項目をあげてみました。
過疎になっている地域ならまだしも、多少なりとも農業が盛んな地域では、新規就農者にまわってくる土地は、必ずしも良い土地とはいえません。
不利な状況の中でも、なるだけ早い段階で育土を進め、収益をあげていくために、自分が借りる圃場のことを知っておくことはとても重要になっていきます。
私自身が、師匠などにも教わり、実践する中で有用だったものを下記にまとめてみました。
チェック表としてつかってみてください。
チェック欄 | 大項目 | 小項目 | 詳細 |
◆ヒアリング調査 | 使用履歴を聞く □昔からの使用履歴など □その地域の地形について、川の有無、むかしの位置・・・ □造成の有無、大規模圃場整備の歴史 □放置畑なら、放置されていた期間など □どんな栽培をしてきたのか? □どんなものを使って土づくりを行ってきたか? □どんな畑・田んぼだったのか?(本畑・造成畑) □どんな肥料を使ってきたのか? □作物の出来はどうだったか? 病気の有無は? □農薬や化学肥料などの使用履歴? □水はけ・水もちなどの状態 □害虫・害獣などの情報 |
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◆圃場全体の観察 |
□圃場ムラを確認。 □生えている雑草、緑肥、作物のできなどを見る。 □地域全体を眺めて自然の状態を確認する(川の有無・森林・地形・土地改良の歴史など) |
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◆土壌の物理性調査 | 検土棒をさす | □棒をさしてやわらかさを確認(タキロンなどの支柱で代用してもよい) | |
土壌の断面調査 | 畑の数箇所を60㎝~100㎝掘り断面調査) 畑の数か所を掘ってみる。 ※高低差があるなら、上と下は最低。または、道路際と中側とか、過去、圃場整備などしている場合は場所によって下層土がちがったり、砕石がつまってたりする。 |
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土の状態を確認 | 団粒化の度合いをみる | ||
粘土の割合の確認 | 手で土のこよりを作って粘土の割合を確認。こよりがしっかり作れるほど、粘土の含有量が多い。 | ||
仮比重をしらべる | □仮比重 容積当たりの乾燥重量(g/ml) | ||
PF(土壌水分張力) | □PFメーターがあれば、水持ちの状態をしらべておきます | ||
◆土壌の化学性 | 土壌診断 | □土壌診断による化学性の把握を行う。(EC・CEC・PH・塩基飽和度・塩基バランスなど) 手順:土壌のサンプリングをして、専門機関に診断を頼む。 ※簡易診断キットによる土壌診断はさけたほうが良い。かなりの差異が出てしまうので。初めの土壌改良を目的とした診断の精度には適さないと思います。 |
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緩衝能試験 | 土壌改良するときは、必ず、その土の緩衝能試験をしてから改良をかけることをお勧めします。最低限 PH 塩基バランス などの最低限の要素を整えておくと、微生物が住みやすい土になります。作物の養分吸収を助けることもできるので、転換初期から収入にしていきたい際はお勧めします。 | ||
土壌改良 | 診断と緩衝農試験をした後、実際に圃場の土壌改良をしていきます | ||
◆土壌の生物性 | 生き物の状態を観察 | 目に見える範囲でかまわないので、土にどんな生き物がいるかどうかを観察してみる。 |
■補足
以上のようなことを調べた上で、一作、緑肥などをつくると圃場ムラや土地の状態なども把握できます。
よく状態がわからない土地の場合は、私の場合は、大豆、麦などをつくってみて、土の状態をある程度把握したうえで
野菜の栽培に切り替えるなど工夫をしていました。また、しばらく、大豆や麦で輪作をしていくことにより、有機物が大量に入っていくので、野菜が育つ上で必要な土壌構造が発達していきます。伝統農法でも、大豆・麦などの後作や、間作で野菜を栽培していました。