\SAS5期スクール日記・オンライン講義DAY6・2月27日開催/
2021.2.28(日)
オンライン講義 Day6 02/27開催
月に一度のZoomを使用した講義ですが、今回が最後となりました。
~今回の講義内容~
①育苗について 温床・育苗の基礎知識
②栽培の一年 作付けのポイント
③近隣農家や行政とのコミュニケーション
④最終講義
⑤振り返り
育苗についての要点を纏めつつ、今までの講義を振り返ってみます。
~概要~
①育苗について 温床・育苗の基礎知識
≪春の育苗と秋の育苗、温床と冷床≫
育苗をする時期は、1年の中で大きく分けて2回。
2/4頃の“立春”を目途に始める“春の育苗”と、8/8頃の“立秋”を目途に始める“秋の育苗”がある。
春の育苗は、地温と気温を作物の生育適温まで上げる必要がある為、「温床」を使用する。
温床の種類は、主に2種類。
有機物が微生物により分解される際の発酵熱を利用した「踏み込み温床」と、電熱マットを使用した「電熱温床」がある。
秋の育苗は7~9月の育苗となる為、高床にして通気性を良くし、必要であれば遮光して涼しくする「冷床」をつくる。
≪踏み込み温床の特徴≫
<利点>
『発酵による二酸化炭素の発生』
・低日照、高湿度下でも徒長しないがっちりとした苗になる。
『次年度の育苗土が自給できる』
・踏み込み温床を作る過程は、堆肥を作っているのと同じ。そのまま発酵分解させて翌年以降の育苗培土や堆肥として使用できる。
・落ち葉は養分リッチでありながら有用微生物が多く付着するので、そのまま分解させて育苗土として使うのに最適。
『地域資源の循環、里山管理に役立つ』
・地域で手に入る有機物(落ち葉、米糠、藁、剪定枝チップ、鶏糞など)を利用して作れる。
<欠点>
『発酵材料を集めるのが大変』
・有機物を集めるのに時間と人手がいる。場所によっては出来ない事も。
『発酵させるための技術がいる』
・安定した温床を作るのに数年かかる。
『温度のコントロールがしにくい』
・発酵熱の細かい調整ができない。
~踏み込み温床のこれらの欠点を、電熱温床はカバーできる~
≪育苗における環境制御の優先順位≫
光 > 温度 > 水 > 風(空気) > 作物生理 > 管理履歴 > 土壌環境(肥料分)
~制御しにくい要因から、順に整えていく~
【全ての環境制御は「光」の状態(晴天、曇天)が基本となる】
『光を基準にして、「温度」を変える』
・作物毎の生育適温、発芽適温を把握する。
・気温管理と地温管理を使い分ける。
・一日の中にリズムを付けた変温管理をする。
<変温管理の4つのポイント>
『午前中』
・光合成の促進
『午後』
・光合成と馴化
『前夜温(日没~22時)
・転流の促進
『後夜温(22時以降)
・呼吸消耗抑制
<光・温度・水・風の関連性>
『晴天(光量多)の場合』
・昼夜ともに温度管理は高め。
・朝からたっぷりと灌水をして昼は光合成を促進させ、夕方には少し乾き気味の状態にする。
・前夜温の時間帯に温度を少し高めに保てるように、育苗ハウスを早めに閉めて転流を促進させる。
・適度な風を送り(換気)、温度と湿度を調整する。
『曇天(光量少)の場合』
・昼夜ともに温度管理は低め。
・光合成が出来ないので、灌水は控えて呼吸を抑制し、現状維持。
~曇天後に晴れる場合は、根鉢が乾燥している可能性があるので朝早めに灌水をして、光合成がしっかりと出来る状態にしておく~
~感想~
今回の講義で、月に一度の半年間に及んだSASオンライン講義が終了となりました。
持続可能な農業を学びたい人達が場所を選ばずに多方面から集まり、議論をする事で学びを共有できたのがオンライン講義の良さだと思いました。
1日6時間で全6回、計36時間の講義は毎回とても濃密でしたが、ここで学んだのは有機農業をする上での必要最低限の知識。
圃場実習も含めて土や植物について様々な事を学ぶ中で、一番大切なことは「自然が先生 畑が先生」であると、回を重ねるたびに感じました。
人も植物も土の中の生き物たちも、それらは全て自然の一部。
全てが上手く循環する事で自然は成り立っていて、人はその自然のお世話をする事を任された“アースケアテイカー”である。
回を重ねる程、知れば知る程に農業の奥深さを感じる内容で、まだこの果てしなく深い農の世界に足を踏み入れたばかりではありますが、ここでインプットしたことをアウトプットしながら常に学び続けていきたいと思います!
by みやっち