\SAS5期スクール日記・オンライン講義DAY5・1月6日開催/
2021.1.8(金)
オンライン講義Day5。
今回は作物毎の栽培技術についてです。
~今回の講義内容~
①オリエンテーション
②ナス科
③アブラナ科
④ユリ科
それぞれの主要作物をざっくり比較しつつ、栽培する際の要点を書いてみます。
~概要~
【ナス科】
『主なナス科果菜類の生育条件の比較』
「トマト」
<光飽和点>
70kls
<日中、夜間の生育適温>
20~25℃、8~13℃
<発芽適温>
15~27℃
<原産地の特徴>
高地で、雨の少ない痩せた乾燥地帯。赤道近くで強い光が降り注ぐ環境。
「ナス」
<光飽和点>
40kls
<日中、夜間の生育適温>
23~28℃、13~18℃
<発芽適温>
20~25℃
<原産地の特徴>
高温多湿の樹林帯。
「ピーマン」
<光飽和点>
35kls
<日中、夜間の生育適温>
25~30℃、15~20℃
<発芽適温>
30~35℃
<原産地の特徴>
熱帯の痩せた土地。昼夜の気温差が大きい砂漠周辺。
〇発芽適温がそれぞれ異なる為、同時に播種して育苗する際はピーマンの発芽適温に合わせて温度管理をして、その後温度を下げる(本来は分けて育苗するのが良い)。
〇トマトとピーマンは乾燥を好み、ナスは湿潤を好む。
『育苗と定植』
「トマト」
・育苗期間は約60日。
・昼夜の気温差をつけて、灌水をし過ぎず適度に乾燥状態にすると良苗が育つ。
・第一花房がつく頃に定植すると、栄養生長に偏らず生殖生長が始まりバランスがとりやすい。
・第一果房がピンポン玉くらいの大きさ(≒第三花房の開花時)になったら追肥を始め、二週間おきのペースで施肥していくと長く収穫できる。
・トマトは、最初に疫病が発生しにくい環境を作ることが基本。ビニールマルチでの泥はね防止や、株元や畝間を剪定枝チップや藁で覆い、枯草菌による拮抗作用を用いる。
「ナス、ピーマン」
・ナスの育苗期間は約90日。ピーマンは約80日。
・第一花房の開花直前に定植が基本。鉢と植穴にたっぷりと灌水し、深植えしない。
・活着不良が起こりやすいので、老化苗にはしない。
・健全な花の状態は長花柱花(雌しべが雄しべより長い)。
・ピーマンは生育がゆっくり。
〇植物は、本葉が展開してから本葉3枚頃までの期間(従属栄養から独立栄養に切り替わる時期)に根圏微生物が定着する。
〇植物の免疫は根圏で作られる為、育苗の良し悪しが後の生育に大きく左右する(苗半作、苗七分作)。
〇落ち葉を分解する葉面微生物と根圏微生物は相性が良いので、踏み込み温床を作り翌年に培土として使うと良い。栽培予定の作物残渣や栽培予定地の土壌を混ぜるのも効果的。
〇セルトレイとポットの鉢上げ回数で、生育速度を調整できる。最初からポットで育苗すると、生育速度は速くなる。根をじっくりと健全に育てるには、徐々に鉢のサイズを大きくしていく。
〇定植の適期は、遅霜の心配のないゴールデンウィーク後あたりから。
〇若苗は環境適応能力が高く、吸肥力があり栄養生長に偏りがちになる。地力が低い土には敢えて若苗で植える方法もある。
〇老化苗(葉色が黄色い、根鉢が巻き付いている、根色が茶色い)を植える場合は、土を洗って根鉢をほぐして根が外に張れるようにすると良い。
〇ナス科とマメ科、ナス科とユリ科の混植は根圏微生物の相性が良く、病原菌の予防や生育促進効果がある。
【アブラナ科】
『原産地』
・アブラナ科の先祖は地中海沿岸やトルコ高原。そこから西(ヨーロッパ)へ向かいキャベツ類が、東(中国)へ向かいカブやチンゲン菜類が生まれた。
・白菜は、カブやチンゲン菜類が交雑した子孫にあたる。
・大根の原産地は、地中海沿岸、中央アジア以西、コーカサス南部からパレスチナ、中国と諸説ある。
『収穫までの生育期間』
「キャベツ」120日
「白菜」90日
「カブ」40~50日
「大根」60~100日
『栽培のポイント』
〇土壌
・PHは弱酸性から微酸性をキープ。
・結球・非結球野菜にかかわらず、基本は熟畑で育てる。
〇結球野菜のポイント
・結球可能なくらいの地力がある畑でつくる。
・追肥を適切にかける(葉茎繁茂期・結球開始期のタイミングで追肥をかける)。
・肥料を使わないなら、地力が高い畑に作付けが条件。
〇初期防除(防虫ネットなど)をする。
〇バーナリゼーション(春化)を考慮した作付け。
〇キャベツ類(ブロッコリー、カリフラワー等)は、土を整えても作付け一年目は虫だらけになる事が多いので、継続して緑肥を入れて連作をすると良い。
【ユリ科】
『主なユリ科作物の比較』
「ネギ」
<発芽条件>
適温は15~20℃。4~33℃で発芽する。嫌光性で酸素要求量が多い。
<生育適温>
適温は15~20℃。耐暑性、耐寒性が強い。
<好適pH>
6.0~6.5。pH5.7~7.4でも育ち、土壌適応性は広い。
<原産地など>
中央アジアの天山山脈より東側。厳しい寒さの乾燥地帯。短日休眠型。
浅く根を張り、乾燥に強い。
「ニンニク」
<発芽条件>
15~20℃。
<生育適温>
15~20℃。25℃を超えると生育が抑制される。
<好適pH>
6.0~6.5。肥沃な熟畑を好む。
<原産地など>
天山山脈より西側。地中海性気候に類似。長日休眠性。
乾燥に強いが加湿には弱い。鱗茎や珠芽を自家採種して、緑肥を使用した連作に適する。
茎を残して干すと、追熟される。なるべく低い温度(-3~0℃)で保存すると、休眠から覚めにくい。
「タマネギ」
<発芽条件>
適温は18℃。4~30℃で発芽する。
<生育適温>
20~25℃。
<好適pH>
6.0~6.5。肥沃な熟畑を好む。
<原産地など>
天山山脈より西側。地中海性気候に類似。長日休眠性。
春化しない程度の大きさ(鉛筆くらい)の良苗をつくるのがポイント。
SASでは緑肥を使用した連作で、一年目に4t/10a、二年目に6t/10aを収穫。
~感想~
今回ここに挙げたものの他に、作物毎の栽培中の手入れの仕方などもありましたが、そこは圃場の実習でしっかり学んでいきたい。
アブラナ科やタマネギなど、圃場で今育てている作物も多いので、今回の講義で学んだ事を踏まえて生育を見ることで、より理解が深まります。
これから夏野菜(ナス科)の苗づくりが始まるので、そこも楽しみ!
オンライン講義も残すところあと一回、引き続きスクール生の皆さんと学びを深めていきたいと思います!!
byみやっち