SASインタビュー/平塚を「子どもたちの夢を地域で全力で応援する街」にしたい
(インタビュー対象者)
堤園子さん
平塚市行政職員(こども家庭課)
NPO法人 未来経験プロジェクト
(インタビュアー)
とても活動的でお忙しい印象なのですが、普段は、どんな活動をされているんですか?
(堤園子さん)
平塚市の行政職員として、子どもたちや親御さんの福祉関係の相談員をしています。お困りごとがある家庭に伺い、様々な部署や専門家と連携をとったり、緊急対応などもあります。
前職は、児童養護施設で働いていましたが、施設に来る子どもを減らしたい、来るような状況に陥ってしまう前に、支援ができないものか?と模索するうちに転職することになりました。
ところが、今の行政での仕事は、やはり、「(虐待などの)問題が起きてから対応する」ということも少なくありません。それも大切な仕事ですが、「予防」ができる仕組みや繋がり作りもしたいので、NPO法人を仲間と一緒に立ち上げました。
NPOでは、「子ども食堂」や「朝ごはん食堂」、学習支援の「寺子屋」の企画・運営、小学生の職業体験プログラムや農業体験プログラムの企画・運営などを実施しています。
(インタビュアー)
精力的に活動されてますね!
(堤園子さん)
よく言われます(笑)やりたいことがたくさんあって・・・。
200個とか300個とかすぐ書けちゃいますね。
もちろん、大変なこともありますが、基本的には、全部、自分が楽しいからやっています(笑)
例えば、「子ども食堂」の活動だと、私が場所や食材の手配をして準備しておくと、当日は、近隣の主婦の方たちなどが集まって料理をしてくれます。日によっては、入れ替わり立ち代わり、大人たちがバトンタッチしながら、順番に、食事の準備や子どもたちの勉強の相手をしています。
私も、仕事が終わって駆けつけると、子どもたちが食事を準備して食べさせてくれたりと、かえって元気をもらったり癒されたりするんです。
食材を寄付してくれる企業さんや農家さんなどもいて、たくさんの街の人が関わって成り立っているんです。
そこから、たくさんの人の接点、近所同士の繋がりなどができていくことが嬉しいですね。
私は場をつくるきっかけを作り、そこに集まる人が場を育ててくれます。皆さんのあり方そのものが場をつくっています。
(インタビュアー)
園子さんの農業との関わりも教えていただけますか?
(堤園子さん)
昔、建築士として仕事をしていた時も、児童養護施設で働いていた時も、基本的にはいわゆる「仕事人間」でした。職場と自宅を往復し、土日は、寝ているか、趣味に没頭する、みたいな感じで地域との繋がりはありませんでした。
平塚市の職員になってしばらくたってから、近隣のご家族の方たちと一緒に、畑で野菜作りを初めました。社会福祉協議会の方に教わりながら、みんなでワイワイ、毎週日曜日に畑に集まるようになりました。
畑で過ごすと、自分も癒されるし、発想も行動も開放されたのか(笑)、そこから、いろんな活動に広がっていきました。「大好きな平塚と育ててくださった街への恩返しがしたい。地域のつながりの中で何かやれたらいいな」という想いが、形になっていったように思います。
とても嬉しかったのが、一緒に活動していた子どもの一人が、農業高校へ進学したことです。
平塚の農業も、他の地域と同様、後継者が不足しています。農業に興味を持つ人が増えるのは、街にとってもいいことだと思っています。
畑で収穫した野菜は、自分たちで食べたり、子ども食堂で食材に使ったりしています。
「せっかくなら無農薬で美味しい野菜を作れるようになりたい」「子どもたちにちゃんとしたことを教えたい」そう思って、サステナブルアグリカルチャースクールで専門知識と技術を学ぶことにしました。
(インタビュアー)
サステナブルアグリカルチャースクールに、実際に通ってみてどうでしたか?
(堤園子さん)
一言で言うと「楽しいです!」(笑)
普段の仕事で過酷な状況にも立ち会わなければいけなかったりするんですが、土曜にスクールの畑で、とても癒されます。集まってくる仲間たちの空気感がとにかくいいですね。
農業を学ぶ目的で来ましたが、人間関係やチーム作りに応用がきくような気づきも多く、興味が尽きません。
例えば、「畑の植物や生物の多様性をイキイキさせる」ための生物学や技術体系は、そのまま、「組織やチームの人たちの多様性をどう活かしていくか?」のヒントになります。
このスクールに通い初めてから、「閃き力」が一段と上がっている気がします(笑)
(インタビュアー)
色々と役に立っているんですね。
園子さんと話していると「平塚が大好き!」ということが、端々から伝わってきます
最後に、その辺についてもお話を伺えますか?
(堤園子さん)
私自身が、この街に育てられました。
「この街に生まれてよかった」「この街で育ってよかった」
そう思える人を一人でも増やしたいです。
「私はあなたの味方だよ」って、子どもたちに伝えたい。
顔が見える関係でいたいんです。
私は、普段、「夢が叶う街、平塚」という言葉を使っています。
「子どもたちの夢を地域で全力で応援する街」です。
何かあった時に、誰かに助けを求められる、
何かにチャレンジする時に、誰かが応援してくれる、
みんな、そんな街に暮らしていたいのではないでしょうか。
この街には、魅力的な大人がたくさんいます。
これからも、その大人たちと子どもたちが繋がる場を作っていきたいと思います。
サステナブル・アグリカルチャー・スクール
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