作物をいかした除草・抑草技術
サステナブル・アグリカルチャー by 湘南オーガニック協議会
2019.9.21(土)
除草剤を使わないオーガニックの農家にとっての大きな課題の一つに除草があります。
ここでは、極力、楽に、効率よく草を押さえていく方法を紹介してみたいと思います。
①マルチ麦利用(植物を使った抑草技術
最近だと「てまいらず」や「百万石」などのマルチ麦をつかった抑草対策も注目されています。
例えば、カボチャの畝間などに、定植以前にマルチ麦をまいておき、高温期になると枯死してマルチ状態になるので、除草の手間が大幅に省けます。
また、てまいらずなどの麦類には、キタネグサレセンチュウなどを減らす効果もあり、組み合わせにより、作物の秀品率を上げる効果にもつながります。
●他の作物への利用例として
大豆・ネギ・山芋の畦間の利用。サツマイモのポリマルチ栽培の畝間の除草対策にもつかえます。また、春から夏に向けての果菜類などとの組み合わせにも使えるので、様々な作物で使ってみてもいいのではないでしょうか。
マルチ麦は抑草の他、複合的な効果が期待でます。
例えば、てまいらずのカタログに書いてあるだけでも9つの効果があげられています。
●てまいらずの効果
①センチュウ密度抑制 ②病虫害の抑制 ③アブラナ科黒斑細菌対策 ④雑草抑制
⑤地温抑制 ⑥乾燥防止 ⑦収量・秀品率の向上 ⑧土壌固結緩和・排水性の改善 ⑨有機物補給
②太陽熱土壌処理をつかった除草技術
夏場に透明ビニールを使った太陽熱処理による除草の技術も省力化の技術です。
特に、夏まきのニンジンなどに関しては、この技術を使って、しっかりと処理をすれば
無除草で収穫までいくことができます。夏場のピーク時の労働時間短縮にもつながります。
また、未熟有機物などの分解や有害な病害虫の予防にもつながり、秀品率が上がるなどの複合的な効果も期待できます。
夏場の太陽熱を利用して、秋冬作物(キャベツ・ブロッコリー・根菜類・・・・)全般につかえます。大幅な除草労力の削減を期待できます。
③効果的な初期除草(手除草)
● 初期除草の大切さ
季節的に太陽熱処理がかけられなかったりする場合は、基本は初期除草を心がけます。
除草の基本は、一番楽な除草を心がけること。
楽に、早く除草を終わらせたいと思うならば、基本は、座らないで除草できるようなタイミングで草を抑えられるようにタイミングを設定します。
また、軽くて表面を除草するだけすむような除草器具の購入をお勧めします。
●除草の複合的効果
「一回の除草は、一回の施肥と同じ」とよく先輩の農家に言われたことがあります。
雨でたたかれた後、土の表面が固くなっているときなどは、軽く除草を兼ねて表面を薄く中耕・除草してあげると、除草の効果だけでなく、空気が入ることによる土壌微生物の活性化がおこり、養分が生み出されるのと、空気が供給されることによる根の活性化がおき、作物の生育が促進してきます。
● 事例 Qホ~
ここでは、お年寄りや女性でも長時間除草しても疲れない道具としてQホ~を紹介します。
いくつか種類があり、用途によって使い分けられるのですが、基本はこの幅17センチのMサイズのQホーがおすすめです。
Qホ~で除草できるサイズの草。できれば1センチくらいのイメージで除草が回れる除草に追われずに作業ができます。
【例えば、平畝もしくは、畝を立ててマルチをかけず播種や定植をする場合】
(1)トラクターの耕起直後の場合 播種・定植後、1週間~10日で初期除草にはいる。
(2)1週間~10日前に耕起してあった場合。面積が小さければ、一度、Qホ~で表層5ミリ~1センチの範囲で全体をなぜるように除草します。その後、播種・定植。
(3)2回目の除草のタイミングも1センチ未満の時に、入ります。よほど、草の多い圃場以外は、2回の表面除草をすれば、作物が優先し逃げ切ることができると思います。
(4)Qホ~をつかっての除草のポイントは、とにかく、表面除草。表層1センチ未満の表層をまんべんなく除草していくこと。
土には、無限に雑草の種があります。下の層をほれば掘るほど、草の種は出てきてしまいます。ですから、できるだけ、表層に草のない層を作り出し、草のすくない土がマルチされているイメージで除草を完了させます。
●なんでQホ~使うんですか?
いろいろな除草の道具があります。土寄寄せと除草を合わせる時などは、三角ホー とかもすごく使えます。
ただ、Qホ~は土をもっていかず、道具としての重さもアルミで軽いので、子供にも扱えます。
除草は長時間行うと体が疲れます。極力、体力のない方でも使える道具がよいと思います。また、手がまやのこぎり鎌などいろいろと除草道具がありますが、座るだけで足が疲れます。また、座ると作業が遅くなるので、極力立って作業が行えるように作業を設定します。
そのために、除草のタイミングも観察しておきます。
日本にはたくさんの道具があるので、楽で効率的な道具を探して試してみてください。
④効果的な除草(機械を使った除草)
大規模ならトラクターにつけるカルチなどいろいろな道具があります。
小規模なら、小型の管理機などを使いながら基本、初期の管理作業を心がけます。
基本、草が0.5㎝~2㎝未満の時に管理作業に入ると楽に作業ができます。
手でも機械でも初期除草を基本とします。