緑肥を利用した栽培⑤ー果菜類と緑肥
サステナブル・アグリカルチャー by 湘南オーガニック協議会
2019.10.27(日)
緑肥を利用した栽培 ⑤
【果菜類】
果菜類の場合は、養分供給として手段としての緑肥利用の他に、バンカープランツ・マルチ、ドリフトガードクロップ・暴風対策などにも使えます
■かぼちゃ
【作型】 夏作
【使用緑肥】 大麦 えん麦
【おすすめ品種】
●マルチ麦として
てまいらず(カネコ):基本品種
百万石(カネコ):早枯れ品種
●後作の緑肥として
えん麦 ヘイオーツなど
【作付例①】
4月 てまいらず等 畝間に播種
5月上旬 かぼちゃ定植 7月~マルチ麦立ち枯れ
【一言メモ】
余りにもマルチ麦を早まきすると出穂率が高まるので、4月以降にまくとよい。
マルチ麦を作りながら、土づくり、センチュウ抑制効果など様々な効果があるので、かぼちゃの連作体系にも活用できます。
<カネコ種苗HPより>
● てまいらずの効果
①センチュウ密度の抑制:キタネグサレセンチュウなど ②病害虫の抑制 ③アブラナ科黒斑細菌病の抑制 ④雑草抑制 ⑤地温抑制 ⑥乾燥防止 ⑦収量・秀品率の向上 ⑧土壌固結緩和・排水性の改善 ⑨有機物補給
【作付例②】
9月~10月 頃 ヘイオーツ播種 年内~年始 緑肥すきこみ
■ナス
【作型】夏作
【使用緑肥】 えん麦・ソルガム
【おすすめ品種】
●暴風 障壁作物として
ソルゴー つちたろう
●畝間のバンカーとして
えん麦(ヘイオーツなど)
【作付例1】 ソルゴーの暴風利用とバンカープランツとしての利用
5月 ソルゴー ナスの圃場の周りに3条ほど播種。
高くなったソルゴーは暴風対策に使えるのと、天敵を温存するバンカープランツとしても利用できます。また、ソルゴーは障壁として、飛来してくるアザミウマの害も抑制することができます。作付終了後は、粗大有機物の補給として利用する。
【作付例②】 畦間のバンカープランツとして
3月~5月 畝間にヘイオーツ播種。カバークロップなら、百万石
畝間に撒くことによって、アブラムシなどの天敵を増やすことができる。
■トマト
【作型】夏
【使用緑肥】 えん麦
【おすすめ品種】 えん麦(ヘイオーツなど)
【作付例1】
10月下旬~11月初旬 夏作終了。残さ鋤きこみ後に、ヘイオーツ播種
2月初旬~ 中旬すきこみ。
3月 トマト予定の畝の上に葉物播種
4月下旬~5月初旬 葉物終了後 トマト定植
【一言コメント】
トマトをもっと早くに定植する場合は、葉物の作付を入れなくてもよい。
【作型2】 ハウス促成(長期・加温)
【使用緑肥】 ソルゴー・ギニアグラス
【おすすめ品種】 つちたろう(ソルゴー) ソイルクリーン・なつかぜ(ギニアグラス)
【作付例1】
6月~7月の最終収穫の後、ソルゴーもしくは、ギニアグラス播種。
有機物補給とネコブセンチュウの抑制をかねて。
7月下旬~8月初旬 緑肥すきこみ
8月中旬以降~ トマト定植
【一言コメント】
有機物補給の用途のほかに、サツマイモネコブセンチュウ対策には、つちたたろう、ソイルクリーン、ナツカゼ等は、どのレースにも効果があります。ギニアグラスに関しては、ネグサレセンチュウにも効果を発揮する。複数のセンチュウ対策に向きます。
■すいか
【使用緑肥】
●土壌病害虫予防・粗大有機物補給 ⇒ ギニアグラス・えん麦
●土壌病害虫防除・減肥 ⇒ クロタラリア
【おすすめ品種】
●スイカ終了後の緑肥として
えん麦(ヘイオーツなど)・・・
●休閑作物として土壌病害の抑制対策として
・ギニアグラス(ソイルクリーン・なつかぜなど)
・クロタラリア:ネマキング・ネマックス
●おすすめ緑肥と播種時期
・9月~12月初旬ならえん麦(ヘイオーツ)
・5月~8月中旬なら ソルゴー・ギニアグラス・スーダングラス(休閑作物利用)
【一言コメント】
●通常の緑肥利用
産地の場合、毎年、連作がかかるので、作付終了後、えん麦を必ず入れる。
●土壌病害が発生したもしくは、深刻な被害の場合
一年間、休閑して緑肥を2~3作、育てていく。 ソルゴーなら2回作付。
一年間の休閑が終わったら、次年度からスイカを作付
その後は、作付後のえん麦は必ず入れて、圃場の一部をローテーションして、3~4年に一度、緑肥を作るだけに専念して、年2~3作緑肥を入れていくと、粗大有機物の補充による団粒化と土壌病害虫の抑制が可能になります。
●休閑緑肥作付例
9月 作付終了後のえん麦 ⇒11月初旬すきこみ
12月初旬 えん麦ORライムギ播種 ⇒4月鋤きこみ
5月 ソルゴー播種⇒7月下旬すきこみ
8月中旬 ソルゴー播種 ⇒ 10月下旬鋤きこみ
※ソルゴーの代わりにクロタラリアを一作入れてもよい。