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\SAS8期スクール日記・圃場実習秋冬DAY5・11月5日開催/

はたけの学校日記

2022.11.5(土)

SASスクール日誌担当のSAS8期のもやです。
 
11月5日は二十四節気の「霜降」の末候、山里では露が霜に変わり、冬が静かに近づいて来ています。
 
七十二候(二十四節気を3分割したもの)では「楓蔦黄(もみじつたきばむ)」となり、
もみじ、蔦、イチョウなどが、赤や黄色に色付き、山粧う季節です。
 
いかすのブルーベリー畑でも、ブルーベリーの木々が紅葉を迎え、来年の実りに向けて、しばし休息しているようです。
 
畑仕事の方では、まもなく「立冬」ということもあり、徐々に冬支度に入っていきます。
ということで、今回のSASでは、来年の作付けに向けて、「土づくり」について学ぶ一日となりました。
 
今回の圃場実習のお品書きは、以下の3メニューです!
 
・緑肥(エンバク)の播種
・有機肥料の散布
・土壌改良資材(苦土石灰)の散布
 
いつものように体操&瞑想を経て、観察タイムを過ごしていると、カエルマークのダンプトラックが通りかかりました。
 
講師のうっちーさんから、「堆肥散布の様子が見られるから行ってみよう!」との掛け声で、みんなで一斉に散布先の畑までダッシュ!
 
このダンプは、「土が活きカエル」をキャッチフレーズに、食物残渣(コーヒーかすや茶葉かす)を堆肥化している「サンシン」社のもの。いかすで堆肥散布を依頼しており、ちょうど散布タイミングに出くわしたのでした。
 
ダンプで散布してもらった後は、トラクターで耕起をします。最初は表層10cm程度で浅く耕し、好気性の微生物が活性化しやすい環境を作り土づくりを進めてもらいます。
 
2週間後くらいに、今度は15cm程度で2回目の耕起をし、嫌気性の微生物にも働いてもらうという流れです。
 
この畑は今年から新しく借りた場所で、今後土壌診断を経て土づくりを進めていくとのことでした。
 
久しぶりのダッシュで息が上がってしまいましたが、「土づくり」の一つである堆肥についても学べ、朝から身体のウォーミングアップもできました(笑)
 

 
続いては、別の畑に移動して、緑肥(エンバク)の播種を体験しました。
 
この畑はもともと作土層が薄く、すぐに石ころ等の混ざった礫層(箱根火砕流の層とのこと)に突き当たります。作物を育てるには条件の悪い畑でしたが、緑肥としてはソルゴーも入れているということで、土壌の団粒構造が発達してきている様子も観察することができました。
 
本日播種したエンバクは、エンバク野生種の「ヘイオーツ」というもの。ヘイオーツは、緑肥としての有機物投入だけでなく、キタネグサレ線虫の低減やジャガイモそうか病の軽減の効果もあるもので、この畑では毎年じゃがいもを育てています。
 
エンバクは、グループを分けて、隣の畑(マメ科作物を育てている)と2ヶ所に播種しました。播種量は、12kg/10a。今回は蒔きムラを少なくするために、いくつかの小さい区画に分けています。
 
ベテラン農家さんの場合、自分のひとつかみの量や歩くスピードが感覚で分かっているので、区画分けせず散布することもあるそうですが、区画分けすることで意外とひとつかみの量は少なくてもよいなど体感することができました。
 

 
お昼ご飯を食べた後は、有機肥料の散布です。
 
いかすでは、「株式会社二見」の「健やかファーム」という食品リサイクル肥料を使用しています。
 
この肥料は、近隣の食品スーパーから廃棄される食品残渣や野菜クズを回収し、副資材の米糠と微生物(内城菌)と混ぜた上で、熱と微生物の力で分解して作られます。内城菌とは、バチルス属を主として複数種の微生物が介在する複合的な菌群で、高温発酵にも耐えられるとのことでした。粉状でアミノ酸っぽい匂い(魚粉の入ったつけ麺のような匂い!?)がするのですが、原料に魚は使用していない植物性肥料だそうです。
 
散布場所は、前回アーチ支柱を片付けてソルゴーを刈り取った畑です。ソルゴー残渣も分解が進み、周辺の土をほじくってみると、トビムシなどの小さな土壌生物が集まってきているのが観察できました。
 
まずは、ソルゴー残渣を畑全体にまんべんなく広げてから、ここでも区画割りされた所に、グループごとに「健やかファーム」を散布していきました。
 
炭素源となるソルゴー残渣の上に、窒素源となる「健やかファーム」を撒くことによって、土壌表面で表面発酵が進むとのことでした。この畑でも11月下旬には緑肥(エンバク)をまき、来年3〜4月にはすき込む予定です。そして、5〜6月には果菜類の作付けが始まります。
 
また、講師のうっちーさんから、有機肥料選択のコツについてもアドバイスがありました。
 
「出所が分かっている」、「産業廃棄物を使っていない」、「近隣の資源循環に寄与している」ものが良いとのこと。
 
今回散布した「健やかファーム」はまとめ買いで安く購入でき、品質も良いので、現在3ヶ月待ちになるほど人気が出ているそうです。
 
別の畑へ移動して、本日最後のメニューは、土壌改良資材(苦土石灰)の散布です。
 
今年から新しく借りた畑で、カルシウム(石灰)と苦土(マグネシウム)を投入することで、塩基バランスを整える必要があります。
 
土壌中の塩基(カルシウム、マグネシウム、カリウムなど)量のバランスが崩れると、作物がうまく養分として吸収できなくなってしまうので、「カルシウム:マグネシウム:カリウム」を「6:2:1」程度にする必要があるとのこと。一度しっかり改良しておけば、7〜8年は改良不要で維持できるそうです。
 
さて、この畑でも区画割りされた所へグループごとに散布していきました。
 
ちょうど夕方の凪の時間帯で風が無い状態。粉状の資材なので、資材が飛ばず散布しやすかったです。
 
苦土石灰は白い粉状の資材なのですが、近隣に他の方の畑がある場合は何を撒いているのかびっくりされることがあるので、事前に説明をした上で、風のない朝方か夕方の凪の時間帯に散布するのが良いそうです。
 

 
以上、本日の土づくり実習は、メニューてんこ盛りでしたが、土壌の三要素(化学性、物理性、生物性)をがっちり整えていける学びに繋がったと思います!

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